【ライカ】ライカM-P + ズミルックスM f1.4/35mm ASPH.
日常となった撮影にこそ快感を

2016.07.12

【ライカ】ライカM-P + ズミルックスM f1.4/35mm ASPH.
【ライカ】ライカM-P + ズミルックスM f1.4/35mm ASPH.

男は「ライカ」に恋い焦がれる。スマホやSNSの普及によって、誰でも手軽に撮影ができ、またそれっぽい加工も可能となっている。だからこそ「ライカ」での撮影に、より一層の魅力を感じる。「ライカ」が男を惹きつけてやまない理由はどこにあるのだろうか。ドイツ工業製品ならではの革新と不変にあると僕は考える。

「ライカ」の原点であるエルンスト・ライツ社は、1849年に精密光学機器を製造する光学研究所として設立された。その技術を応用して、1914年にライツ社の研究員オスカー・バルナックが映画用の35mmフィルムを転用した小型カメラを試作した。それまでは重い乾板を使ったカメラが主流ゆえ、機動性に乏しかった。このバルナックの小型カメラの誕生により、撮りたいとき、つまりシャッターチャンスを逃すことなく瞬間をとらえることが可能となったのだ。

バルナックによる『ウル・ライカ』の革新を熟成させた初代Mである『ライカM3』は1954年4月、西ドイツ・ケルンで開催された国際見本市フォトキナで発表された。初代であるにもかかわらず3の数字が使われているのは、3つのMを意味するからだという。“More Rapid(より速く)” “More Convenient(より便利に)” “More Reliable(より確実に)”がそれだ。

『ライカM3』はその後、『ライカM2(1957年~)』、『ライカM4(1967年~)』、『ライカM5(1971年~)』、『ライカM6(1984年~)』、『ライカM7(2002年~)』等の機種へとモデルチェンジを果たすのだが、いずれもコンパクトと一眼レフの中間ほどのサイズとフォルム、レンズのマウント、そしてレンジファインダー(連動距離計)でピントを合わせる機構は不変だ。

どの年代のポルシェ911を見てもそれが911だとわかるように、どのMを見てもそれが「ライカ」だと理解できるだろう。ともにドイツを代表する工業製品であり、ともに誕生当初は画期的だが異端、と言われたかもしれないが、その設計には強い理念があり、結果としてその理念が長く人に愛される理由となった。レンジファインダーとリアエンジンがその象徴といえるかもしれない。

だからこそ、2006年にデジタル化された『ライカM8』もすんなりとライカファンに受け入れられ、いつの時代のM型と同じくカメラ好きの憧れとなった。このデジタルカメラもいわずもがな、これまでと不変のレンズマウントとレンジファインダーを有す。

そして、伝説のカメラ、Mの系譜を現代に伝えるのがこの『ライカM-P(Typ240)』だ。M-Pとは“M for Professional”の略。つまり、Mの機能をよりプロユースへと昇華させたモデルということだ。かつて『ライカM3』をモディファイした『ライカMP(1956年~)』や、『ライカM6』の進化版『ライカMP(2003年~)』が存在したから、この新しいプロユース・モデルのネーミングにファンはときめきを隠せないはずだ。

新しい『ライカM-P(Typ240)』は、過酷な環境下での使用を考慮した堅牢性の高い伝統のボディデザインをもちながらも、従来モデルに対しバッファメモリー増設により連射性能をアップ、さらにサファイヤガラスの採用で液晶モニターの耐久性を著しく向上させている。

また、「ライカ」が僕たちを魅了するのは、レンズの実力とバリエーションの多さも挙げられよう。現在、M型ライカ用35mmレンズは、ズミルックスM f1.4/35mm ASPH.を筆頭に、ズミクロンM f2.0/35mm ASPH.、ズマリットM f2.4/35mmと開放f値の異なる3つから選ぶことができる。35mmだけでも選択肢が豊富で、それぞれ個性が異なるのだから、いったい自分の撮影にどれが適しているのか。妄想の中、3つのレンズを使用しそれぞれでシャッターをきってみる。レンジファインダーによるピント精度、なにより絞り開放でもコントラストの強い「ライカ」ならではの味わい深い写真が撮れた。妄想の中ながら構図のセンスが良くないのは、僕のせいだが……。

最後に、僕は『ライカM3』を所有している。マニュアル操作による露出やピント合わせは、現代のデジタルカメラやスマホに比べればもちろん面倒だ。フィルムでの撮影は当然モニターなどないから現像してみないとどんなものが写っているのかわからない。しかし、「ライカ」を握りしめ、露出やピントを精査したのち、シャッターボタンを押す、という快感はスマホやコンパクトデジカメでは得られない。いや、待てよ。当たり前だが、この『ライカM-P』はその快感を残したまま、デジタルによる利便性をもっているではないか。さらに、より速く、より確実に、と三拍子が揃っている。

 

撮影するという行為は今や日常だ。撮影を食事に置き換えてみる。安くて満腹になる食事を全面否定するつもりはないが、多少高価であってもより味わい深く、感動するような食事を誰もが選びたいと思うはずだ。だから男は「ライカ」に憧れ、そして「ライカ」を選ぶのだ。

 

ボディのサイズと重量は約139×80×42mm、約680g(バッテリー込み)。

ボディ『ライカM-P(Typ240) ブラックペイント』
税込1,077,840円
レンズ『ズミルックスM f1.4/35mm ASPH.』
税込648,000円

※掲載商品は2016年7月現在の情報であり、変更となる場合がございます。
※品切れの際はご容赦ください。

 

お問い合わせ

北館5階 ライカ
052-264-2840(直通)

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この記事のライター

荻山 尚 / ファッションエディター

1972年生まれ。青山学院大学卒業後、商社に入社した後に編集者に。
レオン副編集長、センス編集長などを務めた後に独立。現在はファッションエディターとして雑誌やWEB、広告などに執筆する。
雑誌GGのファッションディレクターも務める。