【ジョンストンズ】カシミヤマフラー
 ニットはスコットランド物がいい

2016.12.13

【ジョンストンズ】カシミヤマフラー
【ジョンストンズ】カシミヤマフラー

毛織物、つまりニットは英国、とりわけスコットランド物に限る、と私は考えている。この地ほど羊牧の歴史をもつところはなく、同時に毛織物への歴史も深い。1797年にスコットランドの北東エルガンで創業したジョンストンズはその代表だ。同社は200年以上に亘ってファミリーによる経営を続け、ウールはもちろん、カシミヤ、ビキューナ、キャメルヘアーといった高級素材を使ったニット製品を世に送り出している。

同社は原毛の選別から紡績、織り、製品化までを自社で一貫して行える稀有なメーカーだ。時計のマニュファクチュール同様、一貫生産を行える会社の製品には高い信頼性を感じることができる。また、中間マージンによるコストがかからないから、質と価格のバランスがいい。

原毛から製品になるまでには約30の工程があるという。染色にはトップダイド(原毛を染める)、ヤーンダイド(糸を染める)、ガーメントダイド(製品を染める)の3パターンがあるというが、そのほとんどはトップダイドにより染色が施されるという。

最高のもののみがすべて

染色は、19世紀後半までは樹皮、果汁、海藻、コケ類、昆虫といった自然物資を使っていた。が、これらによる染色は汗や洗濯、光による色落ちがあり、また染色自体も不安定ですべて同じ色で生産するのは困難だった。1850年代に現在も使用している化学染料が開発され、安定した色の製品を供給することが可能となった。

個人的には自然染料ならではの味わいが好みだが、きちんと品質管理されていないプロダクトを世に送り出すことを同社は許さないという考えの方が道理なのは明白だ。なんせ同社の企業理念は、〝最高のもののみがすべてなのだから。

次に、紡績、染色された原毛はフェルト状で繊維がもつれ合っているという。これらをほぐすため、ローラーに釘が打ちつけられた機械で梳(す)く工程が続く。その後、精紡機で撚(よ)られ糸となり、その糸を織ることでニット地が完成する。この織りの工程で柄が生まれる。柄はエステートツイードを基本としデザインされている。エステートツイードとは、同じ氏族を特定する織柄(クランタータンという。タータンチェックやブラックウォッチが有名だ)に対して、同じ地域で働き生活する人たちを特定する織柄をさす。

このエステートツイードは、スコットランドの自然に調和し、また狩猟時にカモフラージュとなるよう配慮された色柄が採用されてきた。イタリアのニットのような鮮やかさは少ないが、自然の景色由来のものだから人の心を落ち着かせるような色柄だ。

ニット地となった後、洗いをかけ、余計な油分や汚れを取り除く。乾燥、ローラーがけを経て、今回のようなカシミヤ製品の場合、アザミの実を使って起毛される。これによりカシミヤ特有の流れるような起毛と、そしてしなやかな風合いが生まれる。

とろけるようなカシミヤの心地よさ

ちなみに、カシミヤはカシミヤ山羊の下毛から作られる。寒さを防ぐために、カシミア山羊は2種類の毛をまとってる。ひとつは表面に生えるかさばった上毛、 もうひとつはより内側の体近くに生えるデュヴェと呼ばれる繊維が短く、細い、とても暖かい下毛だ。カシミヤ山羊1頭から約25gの下毛が取れる。それはそのままマフラー1枚分となる。紳士用セーターなら3頭分を要すという。とても希少な繊維であり、だからこそ高価なのだ。しかし、あのとろけるような肌触りを一度でも味わったら、カシミヤから離れられなくなるのもまた事実。

一方、カシミヤの繊維は細く短い。つまり繊細、切れやすいということだ。確かな技術によって撚られた糸でなければ短命に終わってしまうだろう。もちろん原毛の選別も大事だ。ここ数年、ファストファッションブランドをはじめ安価なカシミヤ製品が出回っているが、それらは破れやすく、毛が抜けやすいように感じる。その点、ジョンストンズのカシミヤは裏切らないだろう。

もちろんウールに比べれば繊細だが、同社のカシミヤは心地よさの続きが長い。色柄も廃れることのないもので、オンでもオフでも使えるものだ。その割に価格は、一貫生産によりコストを抑えているから手が出しやすい。長く使えるものだから、早く手に入れた方が得だともいえる。私はすでに得をしていることを告白する。つまり、同社のカシミヤ製品を愛してやむことがないということだ。やっぱりニットはスコットランド物に限る。

カシミヤマフラー
1.税込27,000円
2.3.税込24,840円

※掲載商品は2016年12月現在の情報であり、変更となる場合がございます。
※品切れの際はご容赦ください。

 

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北館3階 紳士洋品
052-251-1111(代表)

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この記事のライター

荻山 尚 / ファッションエディター

1972年生まれ。青山学院大学卒業後、商社に入社した後に編集者に。
レオン副編集長、センス編集長などを務めた後に独立。現在はファッションエディターとして雑誌やWEB、広告などに執筆する。