【ジラール・ペルゴ】
注目すべきはマニファクチュールの定番モデル

2016.10.31

【ジラール・ペルゴ】
【ジラール・ペルゴ】

1861年、日本初の輸入時計代理店となる商館が横浜に誕生した。それに携わったのが、今回の主人公であるジラール・ペルゴ(以下GP)の創業者であり時計師のコンスタン・ジラールとその妻マリー・ペルゴの弟、フランソワ・ペルゴであった。今日知られるGPの創業は天才時計師と謳われたジャン=フランソワ・ボットが1791年に興した時計工房に遡ることができる。そして、この時計をいち早く日本に紹介したのが横浜のこの商館だった。時は江戸時代。ペリーが来航した1853年よりも前の出来事であり、GPと日本の関係は長い。

GPは、あまたある時計ブランドのなかでも希少なマニファクチュールである。ほとんどの時計ブランドは、数々の部品メーカーが作ったパーツを仕入れ、それを組み立てている。が、GPをはじめ、マニファクチュールと呼ばれる時計ブランドは、ほぼすべてのパーツを自社で作り、組み立てる自社一貫生産を誇る。爪の先にも満たない小さなパーツに綿密な仕上げを施し、わが子のような愛情を注いで作られる時計が悪いわけがなかろう。もちろん、愛情だけではない。GPは最新テクノロジーによる精密な作りも魅力だし、時計に関する特許を80近くも有している。研究熱心なことも忘れてはならない。

その賜物として現在、100ほどのモデルがラインナップされているが、その頂点としてトゥールビヨンを備えた「スリー・ゴールド ブリッジ」を搭載するモデルを挙げることができる。時計のムーブメントの脱進機は、構造上バランスの偏りが重力の影響を受けることは避けられない。12時位置を上にした時と、6時位置を上にした時では、時間の進み方が異なってしまう。それを避けるために、脱進機自体を回転させ、垂直方向の平均を取ろうとするのがトゥールビヨンだ。もちろん、パーツ量は増え、製作するのにも高度な技術を要する。この「スリー・ゴールド ブリッジ」は、19世紀後半に開発され、1982年に復刻された。

さらに、トゥールビヨンに、クロノグラフ、ワールドタイマー機能、パーペチュアルカレンダー、パワーリザーブインジケーター、ムーンフェイズインジケーター、ミニッツリピーター、スプリットセコンド、ジャンピングセコンドなどを加えた超複雑機械式時計をGPはラインナップにもつ。が、もちろん、それら複雑機械式時計は高価(数千万円)であり、おいそれと手が出るものではない。しかも、生産数も限られているからお金さえあれば買えるというものでもない。ただし、この機構を作っている時計ブランド、しかも自社一貫生産であるマニファクチュールを標ぼうする時計ブランドの時計はどれを買ってもはずれがない。それらは、高い技術によって完成されらメカニズムが秀逸であり、また小さなパーツまで自社の手と目で管理する物作りに対して誠実なブランドの時計だから、というのがその理由。つまり、トゥールビヨンを作ることができるマニファクチュールの定番モデルに注目すべき、ということ。

だからGPの『ヴィンテージ1945』は時計好きなら誰もが注目する。事実、傑作であり、おすすめの一本だ。1920年代前後にかけて流行し、いまだ様々なプロダクトやアーキテクトに影響を与えるアールデコから着想を得てデザインされた当モデル。レクタンギュラーケースや文字盤の見切りによる“幾何学的な形”、ケースとそのサイドに付けられた“直線と曲線のコントラスト”、リューズをケースに埋め込んで一体型にし、ケース四隅に配されたゴドロンだけの“控えめな装飾”と“左右対称”なバランスにそれが見て取れる。シンプルながら美しいそのデザインは時代を問わず、長く愛用できるものだ。

もちろん、ムーブメントも抜かりない。この『ヴィンテージ1945』の原型となるモデルは、発表当時“リファレンス5420”と名付けられ、GP91というムーブメントが搭載されていた。この『ヴィンテージ1945 XXL ラージデイト ムーンフェイズ』には、もちろん自社製であるGP0300-0062というムーブメントが搭載されている。ラージデイトつまり日付部分は、境目のない表示を可能にし、瞬時にして表示が変わる。これはGPが特許を取得している機構だ。また、パワーリザーブは約46時間、ムーンフェイズも備える。これら精密にして正確な機構をもつムーブメントは、我々エンドユーザーを満足させるばかりではなく、他ブランドの時計へムーブメント提供していることからも信頼性の高さを理解できる。

改めて言おう。今注目すべき時計は、トゥールビヨンを製作できる技術をもち、自社一貫生産するマニファクチュールのブランドの、定番モデルだということを。そして、その筆頭にGPの『ヴィンテージ1945 XXL ラージデイト ムーンフェイズ』は挙げられるのだ。

 

ヴィンテージ1945 XXL ラージデイト ムーンフェイズ

ケースサイズ:36.10×35.25mm
ケース素材:ピンクゴールド
ストラップ:アリゲーター
自動巻き、3気圧防水
約46時間パワーリザーブ
スモールセコンド、日付、ムーンフェイズ
税込3,520,800円

※掲載商品は2016年10月現在の情報であり、変更となる場合がございます。
※品切れの際はご容赦ください。

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この記事のライター

荻山 尚 / ファッションエディター

1972年生まれ。青山学院大学卒業後、商社に入社した後に編集者に。
レオン副編集長、センス編集長などを務めた後に独立。現在はファッションエディターとして雑誌やWEB、広告などに執筆する。
雑誌GGのファッションディレクターも務める。