【ジョンロブ】エレガントさを損なうことなく、雨でも履ける! 老舗の歩みは止まらない

2018.06.14

【ジョンロブ】エレガントさを損なうことなく、雨でも履ける! 老舗の歩みは止まらない
【ジョンロブ】エレガントさを損なうことなく、雨でも履ける! 老舗の歩みは止まらない

イタリアンメイドのスニーカー(それはそれで他にはない秀逸作!)まで手がけるようになったジョンロブだが、その本懐は、もちろんグッドイヤーウエルト製法からなるドレスシューズにある。あまたあるコレクションはいずれも名靴であり、どれが一番いいかという問いに対する答えは千差万別。

極私的な好みは、ダブルモンクストラップの「ウイリアム」とベルテッドブーツの「ジョッパー」という2足である。が、1866年に創業した老舗であり、世界中の貴族や上流階級、政財界の人々を魅了したシューメーカーの凄みはこのストレートチップ「シティⅡ」に最も宿るという意見が多数だということに異論はない。

オーバル型のトウから抑揚を付けながらもスマートなフォルムを描き、小ぶりのヒールへ連なる木型#7000を使う「シティⅡ」。ちなみに1990年代に登場した初代「シティ」はもっとぷっくりとした木型#8695を使っていた。一方、この#7000はスレンダーでありながらグラマラスといえる。色気と知性が同居したフォルムが魅力だ。

物作りへのアプローチはエルメスと同義にする

アッパーのストレートチップは、ビジネスシューズとしては最もドレッシーなデザインだ。つまりそれは最もシンプルとも言い換えられる。シンプルだからこそ木型の素晴らしいフォルムが浮かび上がる。と同時に、革の上質さ、ステッチの丁寧さも際立つ。それはグループを同じくするエルメスと同義だ。

さらに、現アーティスティック・ディレクターであるパウラ・ジェルバーゼは、この老舗の進化、そしてあまたあるマスターピースの歩みを加速させている。それが通常のカーフに替わって“アクアカーフ”をアッパーに載せた新しい「シティⅡ アクアカーフ」に見られる。この革は他の革に比べ油分を多く含ませることで水に対する耐性を上げた。撥水を謳う素材は他にもたくさんあるが、それをケミカルに頼ることなく、上質なカーフで成し遂げた点がいかにもジョンロブらしい。

梅雨時季でも胸を張れる稀有なドレス靴なのだ

今日は雨、そして大事なオケージョンの日でもある。お気に入りのスーツ、シャツ、タイ、ポケットチーフ、時計を選んでも、靴はいかにも雨用靴では足元を見られてしまう。実際には見られていなくてもどこか自分自身の意気が消沈してしまう。つまり、この“アクアカーフ”はこれからの梅雨の時季に重宝するということでもある。また、アウトソールにはラバーソールを備え、滑りにくい仕様に。もちろん、底を見なければ、いつものジョンロブらしいコバの張り出しがなく薄手のソールだからエレガンスを損なうことは決してない。

いずれにせよ、この「シティⅡ アクアカーフ」を一度手に取り、目を凝らして見ていただきたい。アッパーのカーフのキメの細かさと均一さを。ストレートチップをはじめ、履き口や内羽根のステッチの、正確でいながら手作業の温もりを感じさせる立体感を。コバの細かな処理を。私はこの靴をデスクに置き、部屋のライトを消し、アングルポイズの灯りのもと、ひとり見つめながらワインを1本空けられる。全体を見、細部を見、を繰り返しながら。しかし、そんな凄い靴を足元に従える悦びはもっと格別だ。

シティⅡ アクアカーフ
税込183,600円

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この記事のライター

荻山 尚 / ファッションエディター

1972年生まれ。青山学院大学卒業後、商社に入社した後に編集者に。
レオン副編集長、センス編集長などを務めた後に独立。現在はファッションエディターとして雑誌やWEB、広告などに執筆する。
雑誌GGのファッションディレクターも務める。