THE RAKE 日本版編集長 松尾健太郎 × ファッションエディター 荻山尚【後編】

2016.08.12

THE RAKE 日本版編集長 松尾健太郎 × ファッションエディター 荻山尚【後編】

ウエストを絞り込む理由とは?

松尾 『デューク』は、コルテの魅力を満載したモデルですね。トウの先と横の立ち方、履き口やヒールの細かなステッチ処理、ソールのウエストもググッと絞り込んでいます。

荻山 ウエストを絞り込む理由は?

松尾 本来はオーダー靴で使われる意匠なんですが、ここを絞ることで土踏まずがフィットして荷重を分散させることで履き心地をよくするためのものです。

荻山 グッドイヤーウエルト製法だから、作りもしっかりしていますね。その一方で、アッパーはアーティスティック。3アイレットの内羽根、プレーントウというクラシックなアッパーに、シュールレアリストの装飾を施した靴が欲しい、というピエールさんの友人のリクエストに応えたオーダーメイド靴を既製靴として今年発表したそうです。

松尾 シュールレアリスト、超現実主義。

荻山 理性の支配を退け、夢や幻想など非合理な潜在意識の世界を表現することによって、人間の全的解放をめざす20世紀の芸術運動、と辞書にはあります。

松尾 キュクロープスの顔のような、シュールレアリストの代表的シンボル“眼”が、ガゼットとして配置されているんですね。

荻山 しかも、この靴はホールカット。つまり一枚革でアッパーが構成されいます。デザインに目が行きがちですが、靴作りの技術の高さもすごいんですね。

松尾 紳士靴のアッパーのデザインは出尽くしているから、新しい発想は難しいんだけど、コルテはそれが尽きない印象を持っています。

知っておくべきコーディネイトの原則とは?

荻山 この靴、どんな服に合わせますか?

松尾 コーディネイトの原則としてまず、色合わせがあります。3色以内にしましょう、というもの。

荻山 この靴の色を洋服で拾ったり。

松尾 次に素材合わせ。ツルッとした素材の靴にはツルッとした生地の服を合わせるように。たとえば、この靴ならモヘヤ混のパンツとか。逆にスエード靴にはコーデュロイやツイードといったザラッとした素材感を合わせる。

荻山 なるほど。

松尾 さらに上級になると時代感を意識する。たとえば、リーバイスの501にはジェームス・ディーンが着ていたようなジャンパーを合わせて、1950年代風でまとめるとか。

荻山 この靴は細身のパンツですか?

松尾 時代感でいえば1940年代風のスーツが似合いそうですね。つまり、裾幅20㎝以上あって、ターンナップも幅広なもの。逆にぽってりとした靴は1950年代風の細身スーツが合う。

荻山 深い~。

松尾 もっと深くすると、時代プラス場所。たとえば、1950年代のロンドンとか、1960年代のニースとかで着られていた装いを意識する。

荻山 変態の妙ですね。

松尾 僕はお洒落のスタートが遅かったから、その分勉強した。ルールをおぼえて巡視する。冒険しないから失敗しない。知っていると知らないでは大違いで、知らないのにいろいろミックスすると失敗するケースが多い、と思うのです。

荻山 ちょっと堅苦しいと思う人もいるかもしれないけど、大人の男の装いはそうあるべきだと感じる部分は確かにありますね。いい年して場にそぐわない服装をしている人には知性が感じられないものですから。個性も大事だけど、基礎を知ったうえで個をアピールしてほしいと思いますね。

松尾 このコルテの『デューク』はクラシックとモダンを融合させた不思議な靴だから、いろいろ考えて着こなすことができると思いますよ。

荻山 そういう楽しみもありますねって舐めないでくださいよ(笑)。

 

 

 

 



●〈コルテ〉デューク 税込236,520円 ■北館1階


 

松尾健太郎
THE RAKE 日本版編集長、クリエイティブ・ディレクター。月刊誌メンズ・イーエックス創刊に携わり、クラシコ・イタリア、本格靴などのブームを牽引。’05年同誌編集長に就任し、のべ4年間同職を務めた後、時計ビギン、M.E.特別編集シリーズ、メルセデス マガジン編集長、新潮社 ENGINEクリエイティブ・ディレクターなどを歴任。数々の洒落者を紹介するブログも人気。

http://therakejapan.com/tokyo/

THE RAKE

s_0315

THE RAKEとは、2008年にシンガポールで創刊されたメンズマガジン。ファッションを中心に、時計、クルマ、旅、グルメなど、全方位的なライフスタイル情報を提供。INTERNATIONAL EDITIONの編集部はロンドン、発行元はシンガポールにあり、スタッフは世界各地を飛び回っています。 JAPAN EDITIONは、「いま世界では、何が“上質”とされているのか」ということを軸に、本国版から翻訳した記事と日本独自のコンテンツを合わせ、世界レベルに標準を合わせた質の高い情報を紹介。第11号となる2016年9月最新号では、俳優アンドリュー・リンカーンのインタビューや、フィレンツェに集った洒落者たちなどを掲載。隔月24日発売。1200円。

 


バナー

キーワード

この記事のライター

荻山 尚 / ファッションエディター

1972年生まれ。青山学院大学卒業後、商社に入社した後に編集者に。
レオン副編集長、センス編集長などを務めた後に独立。現在はファッションエディターとして雑誌やWEB、広告などに執筆する。